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リンク集

2018年4月26日 (木)

本 「かがみの孤城」

Head1「本屋大賞受賞」の文字 が大きく 「帯」に書いてあったので、好奇心で読み始めた。 ハードカバーで554ページあるが、会話形式も多いので、2・3日もあれば十分読める。

あらすじ・・・学校での居場所をなくし、閉じこもっていた中学1年生 こころ の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な場所。そこにはこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。

孫も中学生になり、もろもろ小・中学生が近からず、遠からず の環境にある私には、興味深いストーリー。 七人の中学1年から3年の男女たちは生まれも環境もまったくちがうが、不思議な共通点があった。 読み進めると、最近の中学生はこれほどまでに自分を内に深く閉じ込めるものなのか、対人関係を見つめるものなのか、と少々まどろっこしくなってくる。 

でも、これが現実に近いのかもしれない、と思うと現代の子どもたちの現状に驚愕する。・  彼ら・この7人は何を見つめていこうとしているのか、何を打開しようとしているのか、大人がはかりしれない事実と大人への階段を登ろうとする子どもたちの大人を見つめる目線におどろく。 この生きづらさを溶解するアドバイスをあたえるのが、鏡の中の妖怪。

教育者、中・高生に特におすすめ。 子どもを見つめる目が変わってくる。

2018年4月 4日 (水)

本 サハラの薔薇

Yjimagerbo5ix1b下村 敦司著 「サハラの薔薇」を読んだ。 344ページだから、時間かかるかな、と思ったが ミステリー、アクション、ロマン、ペテン、科学もの と盛りだくさんで 「さて、どうなる、どうなる」 の連続。 2日間で読み切った。

あらすじ

エジプトで発掘を行う考古学者、峰は、新たにフランスに職を得て、乗った飛行機が砂漠に墜落。生存者のうちの6名でオアシスを目指す。峰が発掘した新しいミイラ、 偶然居合わせた同じ日本人、永井の隠された使命、砂の結晶「サハラの薔薇」の意味、 やがて真実が明らかになる。盗賊、自然の驚異、テロリスト、暗殺者と「インディージョーンズ」ばりの危機が次から次へおそってくる。C0067690_94358181
オチは 原子力開発の意味、「トイレのないマンション」に国は何故開発・稼働をせくのか?  天然原子炉は存在したのか、もし存在したなら、核のゴミも解消できる工程が開発されれば、世紀の大発見になる。大発見か、さもなくば核のゴミをサハラに捨て去るための隠ぺいか。0131
アクションストーリーも最後は社会派科学ものに近くなる。 手に汗握る、とはこんなことを云うのかも。「これからどうなる、どうする?」が気になって本をテーブルに置くことが難しくなるほど。Yjimagek4yt91b5
このアフリカの地図で、白い所がサハラ砂漠。そこに日本をおいたので、サハラの広さが想像つく。 主人公たちはこの中を決死行する。 とにかく面白いから一読をお勧めする。

2018年3月22日 (木)

「んだ 祭だ、ふるさとだ!」

Img_20180322_0001同じ市内で、福島に知人・親類がいたというわけでもないのに、100回以上も通い、福島県の 人、郷土芸能、文化をここ5年にわたって撮りつづけている人がいる。

奥様は 40年も前に次男坊の保育園の先生だった人。 お宅に訪問するとやれ懐かしや、あの子はどうしてる、その後どうしたの、との話になり、肝心の福島の話を聞くのを忘れてしまった。 Img_20180322_0002

写真家 鈴木 渉 さんは 写真家協会賞や土門拳文化奨励賞などを受けたれっきとした写真家。 先ごろここで紹介した まゆずみ まどかさんの「ふくしま 讃歌」 とも重なる部分もあるが、豊富な写真は 福島県に連綿と伝わり、その伝統を守って行こう、とする県民の 郷土愛でもあり、人間愛に満ち満ちた素顔の瞬間を見事にとらえている。Img_20180322_0003

作者の許可を得て、この写真集の一部を紹介。お近くの方、ぜひお手にとってご覧じろ。そして もっともっと 福島県を身近に感じてほしい。Img_20180322_0004
① 太鼓をたたいている二人は 箱崎の獅子舞(伊達市)Img_20180322_0005
② 相馬福田の十二神楽 (相馬郡新地町)

③ 野馬追武者たち

④ 菜の花迷路 (南相馬市原町区 菅浜) Img_20180322_0006_3
⑤ 鹿島区の 日吉神社のお浜下り ← 神社の神輿を島崎の浜に移し、湖水を神輿に奉納し、潮垢離の儀式をおこなう。

⑥ 御宝殿熊野神社の稚児田楽 ↓

さまざまな困難にあいながらも、郷土の祭を続けていこうという気概はどこからくるのだろう。 原発避難で分断された人たちも 「郷土」という点では一致点を見出す。 それをささえる笑顔と歴史と伝統、地域の力を、この写真集は誇らしげに 切り取っている。

2018年3月20日 (火)

伊勢物語・竹取物語

016学研出版 日本の古典  竹取物語・伊勢物語 を読む。田辺聖子による現代語訳。 平安初・中期につくられた。竹取物語についてはあまりにも知られているストーリーだが、原文をほぼそのまま しなやかに現代語訳にしているので また ちがった味わいがある。017

伊勢物語 は 「昔 男ありけり・・・・」 で多く始まり 当時の恋愛模様や生活が短文/小段形式で描かれているので読みやすい。 今から見ると 当時の恋愛はなんと男にとっては自由・奔放・気ままだったのかとあきれるほど。美しい女とみると すぐに恋愛に入る。 そして一夜を共にする。 女もかなり簡単に受け入れる。019

ま、これも当時の文化か。それにしても 日々の喜怒哀楽、その瞬間の感情をすぐさま 「短歌」にして詠み合わせる。020

これにほとほと感心をする。 かのシラノ・ド・ベルジュラック がごとく饒舌とは言わないがたとえようもなく美しい表現で自己の感情をあらわにできる西洋人はすごい、それに比べて日本人は 「武士はくわねど高楊枝」 といい、「沈黙は金なり」 をポリシーとしている、 などといってらんない。 この 「伊勢物語」をみると、日本人の言語表現の豊かさ・深さをまのあたりにまざまざと実感する。021

こんな日本の素晴らしい伝統、四季の豊かさ、地味・自然の味わい、人の機微 すべてが微妙に混ざり合った表現文化。 日本人の文化は古来よりすごかったんだ。 私も好きな人には好き!! と言わなきゃ(云っているけど bleah

2018年3月19日 (月)

絵本 「わすれないで」

Yjimage1図書館へ行くと 絵本コーナーにまず立ち寄る。 3歳の孫に贈る本をさがして、みつけたのが 五味太郎さんの「かくれんぼ かくれんぼ」 。

もう40年も前の本だけど、版を重ねてずっと子供に支持されている。草むらだと思って隠れたのが、たぬき? 岩だと思って隠れたのが 象? なんだかわからない大きなものだと思ってかくれたのが、大きな大きな鬼!! 鬼さんたちも かくれんぼをしていた!! 絵が可愛い、ほのぼのとしている。Uruwasi1img1200x9001518931449iyzc7b

次にみつけたのが 「わすれないで」 第五福竜丸のものがたり  赤坂三好 文・絵。

東京湾の片隅に、見渡す限りのゴミの山の中に、第五福竜丸はその名もかえて 捨てられていた。 ぼくの話を聞いてください、と始まる。015

「 ぼくは元気のいい、かつお漁船だった。ぼくを設計したのは南藤さんという人。1946年 ぼくは 松、杉、ひのき そして大切なところは けやき など100本の木を使って作られた。

そのころ100トン以上もある船はほとんど作られていなかったから、ぼくの堂々とした姿にみんなは歓声をあげた。ぼくはカツオを一本づりで、日本一の大漁をはたした。 1947年から、4年間、ぼくは 毎年 1位を取り続けた。 ぼくは たちまち 有名になった。006_2

毎日 とても楽しかった。 005_3
1954年1月 ぼくは23人の乗組員をのせて、マグロ漁のために、太平洋を南へのむかった。

3月1日、12回目の「はえなわ」をはる。 手ごたえがあった。 大漁だ。 大漁だ。 そのとき 西の空を真っ赤にそめて、  いや あれは 太陽なんかじゃない。それから5時間 白い灰が降り続いた。 3月2日、みんなは、吐き気や頭痛をうったえた。 それから髪の毛がぬけはじめた。 全速力をあげて焼津港へ帰ってきた。009

放射能に汚染されたマグロは原爆マグロと騒がれ、東京の築地市場で埋められた。 乗組員のひとり 久保山愛吉さんが亡くなった。 その後 ぼくは水産大学の練習船になったが、1967年 「夢の島」に捨てられた。  013しかし、沢山の人たちの手で、ぼくは助けられ、 第五福竜丸展示館に今は保存されている。 ぼくを いつまでもわすれないで。」014_2
あとがきに 久保山さんは 「原水爆の被害者は、わたしを最後にしてほしい。」との言葉を残してその年の9月に亡くなった。

2018年3月 8日 (木)

本 「ふくしま讃歌 」

Yjimage2日本の「宝」を訊ねて  黛 まどか さんのこの本を読んだ。

福島県は高校の時から多少なじみがあり、各地を訪ね歩く紀行文はなつかしく想い出深い。それが、詩人の手にかかるとなんとも味わい深い言葉で郷土の歴史、伝統、人間模様 自然の暖かさ が豊かな表現力で迫ってくる。

どの場所をとっても行ってみたくなる。彼女曰く 「福島には日本の多くの地域がとうに失った有形無形の文化があり、それらを訪ねることは日本文化の源流をたどること、その数は800に上る。しかし原発事故の影響で、県全体で300近くの存続が危ぶまれている。Yjimage6

福島では、いまだに10万人近い人が県内外で避難生活を送っている。被災者は家や土地、家族を取り上げられただけでなく、その風土で先祖が育み、代々ひきついできた「暮らし」そのものを奪われている。 

復興をけん引したのは祭や伝統芸能。 「家も財産も失った人々にとって、祭は心のよりどころであり、生きる場、故郷そのものです。」 と福島県文化財保護委員はいう。Img_21

白河以北のみちのくは古来「歌枕」の地として、みやこびと が憧れ、多くの歌が詠まれてきた。歌枕とは長い歳月の中で歌を詠み積み上げてきた異空間。 「わび・さびとか神事の異空間」 という意味なのか?

そのようにして、この本は「知」、「情」、「哲」、「継」 と内容を大きく分類、そのなかでまた浜通り、中通り、会津」とそれぞれの地に伝わる自然・文化を心の目で見つめる。Yjimage2mtnmtyy
たとえばよく知られる「花見山公園」。その主の安倍さんにインタビューしている。阿部さんは20歳で日中戦争に応召。辛くも帰還したが、なぜ自分だけが帰ってきたのだろうと煩悶。戦争でつらい経験をした人を花で元気づけたいと思った。 めいっぱい働いても一人で開墾できる面積は一日 わずか3坪ほど。それでも 「夢はみるものではなく、行動するもの。 でなければ寝ながら見る夢を同じ」 という。

今では全国からのバスツァーがひきもきらない公園。こういった精神もみつめる。

ぜひ、多くの人に読んでいただきたい。

2018年2月23日 (金)

古事記 ②

023_2絵で見る世界の名作 イラスト図解 古事記 {PHP研究所出版) を読む。

前に読んだ梅原 猛 の古事記現代語訳よりずっと短く小学生向けに書かれたものなので、私でもよくわかる。ストーリーは以前に書いたのと同じだが、ちょっとおさらい。022_2

「大地が誕生し、イザナミとイザナギが生まれ、イザナミが生んだ火の神のおかげでイザナミは死ぬ。そのあとを 追って黄泉の国へ行くイザナギ。 これはあのローマ神話にまったくそっくり。すでに古事記が編纂されたころにはローマ神話に近いものが日本に入っていたのか。

イザナギの目から生まれたアマテラスは天を治めることになる。その弟のスサノオはヤマタノオロチなどを退治。これはドラマチックにするためにヤマタノオロチとはでに戦ったように書いてあるものもあるが、実際は8本の酒樽を用意し、大蛇が酒でぐでんぐでんに酔っぱらったところをグサリグサリを一本ずつ首を刺して殺した。ま、こんなところはどうでもいいことだが。しかし、人間の戦いというものは計略、謀略、欺瞞に古来よりあふれていることアリ、アリ。013

スサノオの7代目の子どもがスサノオ。あのイナバの白うさぎの話に登場する大國主の命。 この話もまた、インドネシアやマレー半島に伝えられているバンビとワニ(今でいうサメ)の話と同じバターン。大國主の命は兄たちをすべてやっつけ国を治めることになった。

さて、高天の原を治めるアマテラスは、下に広がる葦原の中つ国を見ると、みな楽しそう。あの国は我が子アメノオシホミミが治めることにしよう」というて、アメノホシを遣わして自分の国にしようとした。 012
アマテラスの差し出した刺客によって大國主の命の子どもであるタケミナカタは 「どうぞ 殺さないでください。父オオクニヌシや、兄ヤヘコトシロヌシのいうとおり、この国は、みな天つ神の御子たちに差し上げます。」というて降参した。

アマテラスの孫にホデリという者がいた。 兄の釣り針を無くしたので、海中にさがしにいくと、竜宮城があり、トヨタマヒメと仲良くなり、結婚した。 しかし、地上が恋しくなり地上に戻ると兄をやっつけ、この国をおさめることになった。そして、このトヨタマヒメとの間に生まれた子どもがいよいよ登場の トヨミケヌ またの名をカムヤマトイハレビコ またの名を神武天皇。

このトヨタマヒメは子どもを産むときにサメの姿になったのを見られたので、子どもを残して再び海に帰って行った。 」

ふむ、こうなるとやっぱり神武天皇の母親は異国の人?

この神話上の人物の即位日は、日本書紀には 辛酉年正月元日とされ、太陽暦に換算すると1月29日になる。と、なると2月11日の「建国記念の日」の歴史的根拠は何なのかな。 

2018年2月13日 (火)

古事記

 001梅原 猛の現代語訳 「古事記」 日本の古典・学研出版 を読む。 おりしも2月11日建国記念の日を前後して読んだので より興味深い。

古事記は太安万侶が、時の天皇の命を受けて、和銅4年(711年)から2年がかりで編纂。これは、720年にできた日本通史の 「日本書紀」の資料となっている。 8世紀以前の歴史を知るには古事記の方がより正確に記述している、と梅原 猛はいう。019

2月11日が建国記念の日というから、その根拠をさがした。 読むにあたっては人の名前が長いし、読み方が複雑なので往生する。017

{ 古事記からまずは 「 国生み」 創生の神々は3人、しかしそのままお姿をお隠しになった。次の5人の神様もお隠れ、こうして7代の神様の後に イザナギノ命、イザナミノ命の二人の神に不完全な国を整えてほしい、と多くの神様が命令。005_2

この二人は暗い夜に事を始めて、生まれた子は、クズの子であった。で、葦の船に入れて、流してしまった。次に、淡島を生んだ、これも子の仲間には入れなかった。 ここで二人の神は相談して、「今、わたしたちの産んだ子はどうも出来がよくない。」 そこで 天つ神に相談したところ、男の神が先に「ああ、なんていい女だ、」といい、 女の神があとに 「ああ、なんていい男だ」といって 男女の交わりをして産んだ子が 「淡路島」。 003_3

こうして、次々に「大八島国」が出来た。  なんとも人間的でスケールも大きい楽しい話ですねぇ。神様でもクズの子を産むのか、なんて笑っちゃう。008

さて、それからイザナギノ大神から次々に神様が生まれた。この神様が左の目を洗ったときに、現れたのが天照大御神。右の目を洗った時に現れたのが月読命(つくよみの)。鼻を洗って現れたのが・・・。 

天孫降臨の神々としての系図は天照大神から始まる。

天照大神が岩屋にこもって世が暗くなったという話はよく知るところ。 その女神様を岩屋から引き出すためにその前にどんちゃん騒ぎをした話も有名。オオウズメノミコトと云う女性がその岩屋の前で、桶の上で踊り狂い、神がかりのようになって、乳房をかき出し、、裳の紐を垂れて、女陰を出した。そこで、高天原はどっと揺らぎ、すべての神様はアハハ・・・とわらった。 そこで 天照大御神は不思議に思って出てきた。 アハハハと私も笑う。016
さて、それから 5代目にいよいよ「神倭伊波礼ビ古命…神武天皇」が天下を治めたと、出て来る。

美輪の大物主神(神武天皇の子)がある女に一目ぼれし、その人がうんこをしているときに、赤くぬった矢に化けて、うんこをしている溝の上流から流れてきて、その美しい人の女陰につきささった。}

などとまあ、おおらかでファンタジーあふれるが、したがうぬ人には家族ともいえども手足をもぎって、切り刻んだ、とか血塗られた歴史も現実的。

考古学は紀元前3世紀に弥生時代がはじまることを教えてくれる。そのころ、九州北部に、水田稲作と金属器と弥生式土器を持った民族集団がやってきた。これは単に文化の移入ではなく、民族の侵入だったように思う。

それから、紀元3世紀ごろまでの弥生時代に、銅剣、銅矛を支配のシンボルとする北九州文化圏と銅鐸を支配のシンボルとしている近畿文化圏があり、この文化圏相互に一大戦争があり、銅鐸文化圏は消滅。013


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古事記の上巻は神代の話、ここで天上からくだった天つ神が、それ以前からこの国にいる国つ神を支配することが定められていることになっている。

天つ神が来たら、国つ神は潔く天つ神の子孫に国をゆずらなくてはならない。これが日本の国家の政治のもっとも基本的な原則、 と 梅原 猛は解説。

古事記 全体としてはそれぞれの神様は詩歌にも秀で、叙事詩的に編纂されている。 ここからどこをさがしても、2月11日の建国記念日は出てこないなぁ。

2018年2月 2日 (金)

東海道中膝栗毛

003今日は雪、おかげで仕事はお休み。我が家の前の道路は向こう3軒の人たちがにぎやかに除雪。 近況をききながらの雪かきにきれいに雪がはけた。 こうしたコミュニティーの顔合わせも時にはいいもの。

4月のアコーディオン・「陽だまりコンサート」に大先輩が出ない予定、というニュースが入り、がっくり・びっくり、オロオロ、 人生、色々としばらくしてから気を取り直す。004

さて、学研出版 日本の古典 現代語訳 が面白い。 杉本苑子訳 東海道中膝栗毛。このシリーズはこれで2冊目だが、写真の豊富、解説も面白いので、しばらくこのシリーズを読んでいくことにしよう。007
「ひざくりげ」とは自分の足を 「栗毛の馬」に見立てて歩いて旅すること。 「お陰まいり」という伊勢参宮ブームが18世紀たびたび起こった。 1705年には4月から5月までの50日間に推定 262万人、60年後には270万人、さらに1830年には486万人と大群衆が伊勢をめざして旅した。013
人々は「行動文化」といわれるほどよく出歩いた。 このころは参勤交代の制度によって大量の武士が移動していたので、その街道の治安、旅籠の設備などもかなり安定した旅が庶民にも保障されるようになったからである。

こうした中でのこの本は庶民の目線からみた文学としての旅行記と実用書は大ヒットをきたし、戯作者としての十返舎一九の地位を不動のものにした。 彼自身は大阪、千葉などで入り婿になったり江戸で戯作者とまじわったりの中で、苦労を重ね、庶民の貧しさもそれを苦労とせず笑いの中に明日を生きていく力をまざまざと見せる。012

失敗の多い道中、「私だったらこんな失敗はしない」 という読者の優越感もくすぐりながら、武士にあってもへつらうことない生き様もまた小気味よい。 好色な話も多い、この時代の性へのおおらかさか、女性蔑視かと思われる向きもあるが、ほとんど彼らは失敗する。 当然でしょ、とこちらも溜飲をさげる。017

はて、日本人の旅行好きのルーツは参勤交代にあったか・・と思ったり、とにかく面白い。 

2018年1月24日 (水)

今昔物語

813060240153431読書は精神的・物理的休養の意味を込めて読むときが多い。したがってむずかしい本は読めない。

図書館でふと目にした 現代語訳 学研 日本の古典 尾崎秀樹 の 「今昔物語」を読む。 A4大の大型本。180ページの中には現代に残る絵などを豊富に収録。

芥川龍之介の「羅生門」 や 「鼻」 ,「芋粥」などは有名だがあれは意訳であり芥川流に膨らませている。 こちらはかなり直訳に近い(と思う)Yjimage5_2
三つの大きな巻からなる 天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本) におおまかに分かれ 1巻から31巻まであり、当時(12世紀ごろ)の日本人がいだいていた ほぼ全世界の説話を集めた作品。 それは千話を超え、源氏物語をはるかに超える分量Yjimage3_2
ドキュメンタリーチックな装いながら ファンタジーを折りまぜ、 内容の豊富さ、話種、の多様さ、主人公たちの属する階層、 話の舞台となった地域の幅広さにかけては 他の古典文学とはくらぶべくもない、という。

内容も 恋と人情と笑い、 悪行と忌憚、 宿報と怪異、 知恵と勇力、惑いと救い、 などなど仏法を説きながら、人生を語る。 

各ページごとを彩る絵も見事。その時代・地域 の生活、様式、思い などが かすれてはいてもなお残る極彩色の絵巻物などなど。 豊富な絵図に見とれる。

この 「鼻」 なんぞを読んでいると、自分の安いプライドも思わずひっこめなければと思う。

サークルでは、たびたび「リズム感がない」といわれる。これはほんとのことだから仕方がない。 、アンダースロー、オーバースローの演技が出来なくて「英語がわからないの!」 と とびかう。

英語ね、現地では日常会話に毛の生えた程度、これじゃ、多少ともわかるなんていえないわね、 はいはい、安いプライドを捨てましょう、 今昔物語も案外教訓になる。中国語はヒヤリングがダメなのよ、なんて「みえ」ははらないようにしましょう。

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